JACK’S WILL
GO DEVOTION WAY

音を紡ぎ、人を紡ぎ、世界を紡ぐ。

GO YOUR OWN WAY

終演後、一番前の席に座って家族連れで来ていた紳士に「メルシー」と挨拶に行ったら、優しい笑顔で「今日は本当に来てよかったと言ってくれた」と答えてくれた。  

だが、その後の一言に核心を突かれた。 

「トラディショナルをやっていた時には表情が硬かったけど、オリジナルやっている時は演奏している時のとても楽しそうに演奏していて表情が豊かだったね。」 

パリならまだしも、ここはブルターニュのピースフルな田舎町。

ほとんどが三味線を初めて聴く人で年配の方が多いだろうから、まずはどういう楽器で、どんな音楽を演奏する楽器なのかを紹介するべきだ!と思い、9割民謡、1割オリジナル、という僕らにとっては思い切ったセットリストにしてみたのだ。 

会場に着いてみたら予想は的中して、バーと言っても椅子に座ってのデイタイムコンサートのような雰囲気で、年配のお客様がとっても多かった。

MCでも質問してみたけど、やはり90%以上が三味線というワードも知らず、初めて三味線を聴くひとで溢れていた。  

みなさん真剣な眼差しで、時にはリズムを取りながら楽しんでくれて、とても光栄な時間だった。

YUJIも気持ちのこもった熱い演奏で盛り上げてくれて、コンサートは無事に成功したのですが、最終的に一番盛り上がった曲は我々のオリジナル曲、「HARE」だった。

「トラディッショナルをやってくれたお陰でオリジナルの面白さが引きたったし、でもみんなもっとオリジナル曲を聴いてみたかったと思うよ。年配の人もPLANTECのエレクトロミュージックが皆んなに受け入れられているのが象徴しているように、新しい音楽も結構好きなんだぜ。次回はセットリスト、トラディッショナルとオリジナル半々くらいにしてみても良いかもよ。20歳になる娘が日本に憧れていて、2年以内に東京に引っ越すと意気込んでいるんだ。今日は本当に来てよかったよ、メルシー!」

そんな具体的な助言を残してくれて、彼は去っていった。

毎回、その時々の年齢層やお国柄に合わせてセットリストを変えることも大切だけど、”しなければいけない”、”した方が良い”、”きっとこうだろう” に縛られすぎると、今度は自分自身のアイデンティティーを見失いかねない。

大切なのは、”何をしたいか”。”何を伝えたいか”

シンパシーが合う人とは波長がシンクロしてそれが大きな感動や笑顔を引き起こすが、当然波長が合わない人だってそこにはいるはずであって、その場にいる全員に受け入れてもらおうと、安全パイをとったり、ピエロになろうとすると、かえって何かを失う事もある。   そんな事に改めて気づかされた。

自分が最高だと思って作った曲を最高だと言ってくれたら、それ以上最高な事はない訳で。

こうやって二歩進んだら三歩戻るような事をしながら試行錯誤していて、どこにいても、誰といても、自問自答は終わることは無いけれど、でもそんな気づきも、このre:tokyoツアーなんだと思う。

 

心の波に身を沈めて見上げた水面に映すのは
名前をなくした自分の姿
3つ目を開いてみつめるよ 自分をオリジナルと信じよう 
CARAVAN / STAY

ツアーは続く、どこまでも

寂空